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駒場の情報教育棟は、前期課程学生を主とする多数の学生に対する情報関連教育を行うための専用の建物である。情報教育棟には大規模な端末室が複数室あり、学部と大学院の教育に供されている。演習に用いる情報システムは教育用計算機システムと呼ばれ、全学的な組織である情報基盤センターの情報メディア教育部門が、その構築と維持管理に当たっている。
このシステムはまた、教職員にとっての情報基盤としての役目も果たしている。教育用計算機システムの端末は、情報教育棟と駒場図書館に合計約850台が配置されている。駒場キャンパスの教育用計算機システムの利用者は、前期課程・後期課程・大学院の学生と教職員であり、約1万人に及ぶ。
以下にこれまでの経緯と現状とを記す。
情報基盤センターは本学の本郷浅野地区に本部を置く。その一部門である情報メディア教育部門は、東京大学全体の教育用計算機システムを運用・管理する組織である。その前身の一つである教育用計算機センター駒場支所は、教養学部における情報処理教育のための建物である情報教育棟(後に情報教育北棟)が新営された1987年4月に、その中に設置された計算機設備と約300台の端末の管理のために発足した。この設備を利用して、それまでは不可能であった駒場における本格的な情報処理教育が開始された。1994年10月には、北棟システムとは別に、端末数700台規模のネットワーク・べ一スのシステムが教養学部によって導入され、そのシステムを設置するために情報教育南棟が新営された。これにより、情報教育はその幅を大きく広げることが出来た。
その後、1995年3月の教育用計算機センターのシステム更新を機に、2つの情報教育棟システムが光ケーブルによって結合され、両棟いずれの端末でも全く同じ計算機環境が利用できるようになった。1995年10月には、南棟のシステムも教育用計算機センターに管理換えされ、システムの管理が一元化された。1999年4月には、教育用計算機システムが更新され、本郷と駒場のシステムが一体化された。同時に、教育用計算機センターと大型計算機センターなどを統合・発展させた組織として情報基盤センターが発足し、教育用計算機センターは情報基盤センターの情報メディア教育部門となった。2003年12月には情報教育南棟が拡張され、2004年3月に更新された教育用計算機システムは、情報教育南棟に集約された。以後は南棟と拡張部分とをまとめて、改めて情報教育棟と呼んでいる。2008年3月には教育用計算機システムが更新され、現在に至っている。
以下では、2008年3月に更新された新しい教育用計算機システムについて説明する。教育用計算機システムの端末は、情報教育棟と駒場図書館に配置されている。端末には、MacOS
XとWindows Vistaの使えるiMac端末、および、Windows Vistaのみが使えるCAD端末がある。どちらの端末も、ネットワークから起動するためとセキュリティの維持のために幾つかの制約があり、通常のPCとは違うので注意されたい。どちらの端末にもUSBとDVD-R/CD-RWが装備され、各種メディアが利用できる。iMac端末からはParallelsを利用してWindows
Vistaを動かして、Windowsのアプリケーションも使用できるので、CADソフトウエアのようにCAD端末でないと使いにくいもの以外はiMac端末で使用するのが望ましい。
教育用計算機システムにはこの他に、研究室のPCなど教育用計算機システムの外部から使うための、SSHなどのセキュアーな方法でログインできるサーバなどが用意されている。教育用計算機システム内の端末などで使用する利用者のファイルはファイルサーバで一元管理される。電子メールのやりとりのためのメールサーバは、教育用計算機システム外からSSLを使ったPOPかIMAPで利用できるほか、ウェブでアクセスできるウェブメール、ウィルス防護フィルタなどを備えている。
ソフトウェアとしては、プログラミング言語環境(GCC、Java言語環境)、統計処理ソフトウェア(SAS、JMP)、数式処理ソフトウェア(Mathematica)、CADソフトウェア(Autodesk Inventor Professional 2008)、CGソフトウェア(Autodesk 3ds Max 2008)、オフィスアプリケーション(MS-Office、StarSuite)、ラスタ描画アプリケーション(Photoshop Elements)、Unixフリーソフトウェアなどが使用できる。(使用できる端末には制限がある)プリンタはすべてカラーであるが、白黒印刷とカラー印刷で料金が異なる。印刷経費はプリペイドカードもしくはICカード学生証のポストペイ機能を使った利用者負担方式を採用している。
情報教育棟には、演習室(大演習室3室、中演習室3室、小演習室2室)、自習室、遠隔講義室、教材作成・研究室、セミナー室がある。演習室は教員が授業のために利用することができ、自習室は学生が自習の為に利用することができる。演習室には教師用端末の画面やオーバーヘッドカメラ、ビデオデッキの映像などを放映する機能があり、コンピュータを使う教育も効果的に行えるようになっている。遠隔講義室には、他の教室と映像・音声を双方向にやりとりして授業やゼミができるシステムが設置されており、教職員が授業やゼミのために利用することができる。いわゆるテレビ会議システムも用意されているので、国内外の大学・研究所で接続できるところは多い。教材研究室・作成室は電子教材を企画・制作するための設備であり、教職員は講義資料準備などのために利用することができる。講義映像撮影のための機材や映像編集・ウェブ作成のための高性能なコンピュータが用意されている。セミナー室は、セミナーのための設備であり、教職員が利用することができる。
教養学部前期課程では、1993年度の新カリキュラムから「惰報処理」を必修科目とした。 その後、高校における教科「情報」の導入に対応して、「情報処理」は2006年度に「情報」に改訂された。情報基盤センターが管理運用するシステムは、この「情報」を始めとして、前期課程、後期課程、さらには大学院を含むさまざまな教育に利用されている。入門教育では、機器操作や基本的なソフトウェアの習熟とともに、ネットワークを始めとする情報化社会への接し方やマナーを身につけることにも注意が払われている。
さらに進んだ教育には、プログラミング、グラフィックス、統計分析、数式処理、文書処理、シミュレーションなどがあり、文系理系を問わず多様な演習が実施されている。電子メールや講義用サーバなどの各種ウェブサーバなどの利用度も高く、このシステムが果たすキャンパス全体の情報インフラストラクチャとしての役割は大きい。
情報教育棟では、教養学部の情報教育棟関連職員3名(内2名は非常勤職員)と、情報基盤センターの教員3名と職員6名(内2名は非常勤職員)が共同して業務を遂行している。教育用計算機システムのうち駒場設置部分については、情報基盤センターが教養学部の情報基盤委員会と連携して運営を行っている。また、建物としての情報教育棟の運営については、情報教育棟運営委員会と呼ばれる組織が担当している。
教養学部における情報教育棟と教育用計算機システムが東京大学の学生教育に果たした役割は極めて大きい。
とくに1994年10月以降のインターネット機能の整備は、適切な教育環境のもとに情報社会について学ぶ絶好の環境を学生に提供するものであったが、同時に、情報社会における数々の現実的諸問題を学内においても経験させられる結果となっている。システムの管理者権限を不正に取得しようとするクラッキング、他人のパスワード盗みやメールの盗み読み、WEBページでの営利行為や著作権侵害、さらには一般ネット上の掲示板荒しなど、一般社会で起き得る違法・迷惑行為の例は枚挙にいとまがない。これらについては判明し次第アカウントの削除などの処置をとっているが、無知や心の緩みからこのような過ちを犯し、将来を失うものがいるのは残念なことである。これから大学の情報インフラストラクチャを利用しようとするものには、社会の一部としての大学環境を十分に理解し、そのような過ちに陥っていないか、常に自問するよう望みたい。
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